
「そろそろ、値上げを考えないといけないな。」
原材料費が上がった。
人件費も上がった。
物流費も上がった。
今の価格のままでは、利益が残らない。
ところが、社長が値上げの話をすると、営業からこんな声が出てきます。
「値上げしたら、お客様が離れます。」
「競合に取られてしまいます。」
「今はまだ、やめた方がいいと思います。」
社長自身も不安になります。
「やっぱり、値上げは難しいか。」
そして、価格は据え置かれます。
しかし、コストは待ってくれません。
売上は変わらない。
仕事量も変わらない。
むしろ忙しくなっている。
それなのに、利益だけが少しずつ減っていく。
ここで考えてみたいことがあります。
値上げできない会社は、本当に「価格」の問題で悩んでいるのでしょうか。
例えば、お客様から、
「なぜ値上げするのですか。」
と聞かれたとき、
「原材料が上がったからです。」
「人件費が上がったからです。」
としか説明できなければ、お客様から見れば単なる負担増です。
しかし、本来お客様が買っているものは、商品そのものだけではありません。
品質。
納期。
対応の速さ。
技術力。
提案力。
安心感。
長年積み重ねてきた信頼。
そこに価値を感じているから、取引が続いているはずです。
それなら、値上げを考えるときに必要なのは、
「いくら上げるか。」
だけではありません。
「なぜ、この価格でも私たちを選んでもらえるのか。」
を考えることです。
もし、その答えが見つからないのであれば、値上げ以前に考えるべきことがあります。
自分たちは、お客様にどんな価値を提供しているのか。
競合ではなく、自分たちが選ばれる理由は何なのか。
その価値を、きちんとお客様に伝えられているのか。
値上げとは、単に価格表を書き換えることではありません。
自分たちの価値を問い直す機会でもあるのです。
もちろん、値上げをすれば離れるお客様もいるでしょう。
だからといって、すべてのお客様に合わせて価格を抑え続ければ、会社の利益は削られていきます。
利益がなくなれば、
人を育てることも、
設備に投資することも、
より良い商品やサービスをつくることもできません。
安く提供し続けることが、必ずしもお客様のためになるとは限らないのです。
大切なのは、
「値上げしても大丈夫だろうか。」
と心配することだけではありません。
「この価格でも選ばれる会社になるには、何を磨くべきか。」
を考えることです。
価格は、会社が提供している価値の一つの表現です。
だから、値上げを恐れる前に、自分たちの価値を見直してみる。
そこから、価格の議論は始まるのではないでしょうか。
あなたの会社は、「安いから」ではなく、「あなたの会社だから」と選ばれていますか。

