
社長からよく聞く言葉があります。
「そんな話は聞いていなかった」
問題が発生した後。
顧客からクレームが入った後。
従業員が退職した後。
不祥事が発覚した後。
社長は驚きます。
そして、
「なぜもっと早く報告しなかったのか」
と言います。
しかし、その時私は別のことを考えます。
本当に報告されなかったのだろうか。
実は、多くの問題は突然発生しているわけではありません。
現場では以前から違和感がありました。
担当者は気付いていました。
上司も何となく分かっていました。
それでも社長には届かなかった。
そんなケースは少なくありません。
では、情報はどこで消えてしまうのでしょうか。
多くの場合、誰かが隠そうとしたわけではありません。
現場は忙しい。
まだ大きな問題ではないと思った。
報告するほどではないと思った。
上司に迷惑をかけたくなかった。
まずは自分たちで解決しようとした。
どれも悪意ではありません。
しかし、その小さな判断が積み重なることで、情報は少しずつ削られていきます。
やがて社長に届く頃には、
「問題」
ではなく
「結果」
だけが報告されるようになります。
本来、経営者が知りたいのは結果ではありません。
結果が生まれる前の兆候です。
違和感です。
小さな異変です。
現場の本音です。
しかし、それらが上がってこない組織では、経営判断も後手に回ります。
私は、情報が多い会社が強いとは思いません。
本音が上がる会社が強いのだと思います。
そのためには、
「悪い報告をしても責められない」
「問題を報告した人が損をしない」
そんな環境が必要です。
社長が求めるべきなのは、
良い報告ではありません。
正しい報告です。
そして正しい報告は、仕組みだけでは生まれません。
組織の風土や価値観によって支えられています。
あなたの会社では、問題は報告されているでしょうか。
それとも、社長に届く前にどこかで消えているでしょうか。

